しゃっくりが起こっているとき、体の中ではどのようになっているのでしょうか。
どうして、ヒック という音がでてしまうのでしょうか。
しゃっくりは ”横隔膜のけいれん” と聞いたことがある方が多いと思います。確かに、しゃっくりが起こっている時には、横隔膜の急激な収縮が不規則に起こっています。
横隔膜は胃の上部にある筋肉性の膜で、哺乳類のみに存在します。呼吸をする時、横隔膜が収縮することで、肺に空気を入れる吸気運動をしています。横隔膜は呼吸をつかさどる延髄でコントロールされ規則的な呼吸を助けています。しゃっくりの発生時、その呼吸運動とは別の横隔膜の不規則(吸気)運動が起こっています。
このように横隔膜はしゃっくりの原因の一つですが、これだけではヒックという音はなりません。
横隔膜とともに、しゃっくりの原因になっているのは、声帯・声門です。声帯は声を出す時に重要な器官で、気道の入り口にあります。対になる声帯の間が声門と呼ばれ、空気を肺に運ぶ通り道です。通常、息を吸う時には声門は開いています。しかし、しゃっくりが起こっている時、その声門が閉じてしまっています。
横隔膜により急激な息を吸う運動をしているのに、その空気の通り道の声門が閉じているのです。そのため、あの特徴的な「ヒック」という音がなります。
横隔膜の不規則かつ急激な収縮と、声門の閉鎖の合わせ技で、しゃっくりが完成するのです。
この横隔膜や声門をコントロールしているのが延髄です。しゃっくりが起こるとき、この延髄からの異常な神経伝達が発生していると考えられています。しゃっくりと神経伝達の謎は、まだ未解明でその神経伝達物質にも注目が集まっています。神経伝達としゃっくりについて、またの機会にお伝えできればと思います。
たかがしゃっくり、されどしゃっくり・・・。
しゃっくりが出たとき、声門と横隔膜に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
参考文献
・しゃっくりの⽣理学と臨床: 反射であることの 認識. Clin Neurosci. 2018; 36: 789-92.
・Hiccup reflex is mediated by pharyngeal branch of glossopharyngeal nerve in cats.
・Neurosci Res. 2003; 47: 317-21.