しゃっくりと神経伝達路

その他

しゃっくりが出ている時、体の中はどのようなことが起こっているのでしょうか?

前回の記事では、しゃっくりの病態について記載させてもらいました。

前回記事は こちらから。

 

その中で、しゃっくりには横隔膜と声門が重要な役割をしていることをお伝えしました。

しゃっくりの症状は、医学的に言うと反射であると知られています。

 

反射とは、動物(主に脊椎動物)が、ある特定の刺激に対して意識することなく反応することを

指します。有名な反射に、膝蓋腱反射(ハンマーなどで膝を叩くと、下腿が跳ね上がる)などが

知られています。神経経路は、以下のようになり、刺激を大脳で処理することなく、反応が起こります。この経路は反射弓と呼ばれます。

 

 反射弓 : 刺激 →感覚神経(求心)→中枢(大脳を介さない) →運動神経(遠心) →反応

 

 

 

しゃっくりも反射弓と同様の神経伝達経路により引き起こされていると考えられています。

現在報告されている神経は以下のようです。

 ①求心性:舌咽神経(参考文献)、その他様々な感覚神経

 ②中枢 :延髄に存在する孤束核・擬核

 ③遠心性:迷走神経(声門の閉鎖)・横隔神経(横隔膜の収縮に関与)

 

求心性神経には、舌咽神経の刺激が関与していることが、動物実験で示されています。

その他にも、胃からの刺激でもしゃっくりが起こることが経験的に知られており、

体中の様々な場所からの刺激と感覚神経(求心性)との関与の可能性があります。

 

しゃくりの中枢は延髄(延髄疑核近傍網様体)にあるとされています。通常時(しゃっくり起きていない時)は、この中枢でしゃっくり抑制性の神経(副交感神経)が働いています。その抑制が外れるとしゃっくりが発生します。(お酒によるしゃっくり誘発は、この抑制系の抑制によるものと考えられています)

 

遠心性神経は、別の記事で紹介した声門と横隔膜に関与しています。声門は迷走神経(脳第Ⅹ神経)によりコントロールされ、横隔神経は横隔膜の収縮に関与しています。中枢からのミス信号等により、声門の閉鎖と横隔膜収縮が同時発生し、「ヒック!」となります。

 

しゃっくりは、この様に、①求心性神経、②中枢、③遠心性神経 のいずれかの障害や異常により

引き起こされます。そのため、しゃっくりが誘発される原因も様々です。長らくしゃっくりが止まらない場合は、原因検索のため、ぜひ医療機関の受診をお勧めします。

 

しゃっくりと神経伝達経路についてお伝えしました。

神経伝達あるところに、神経伝達物質あり!

しゃっくりと神経伝達物質についても謎がたくさんあります。

またの機会にお伝えできればと思います。

 

たかがしゃっくり、されどしゃっくり・・・。

今回は、しゃっくりと神経伝達、少しだけ医学的な内容になってしまいました。

ちょっと難しく感じた方は、しゃっくり本で癒されてみては!?

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参考文献

Neurosci Res. 2003; 47: 317–321. PMID: 14568113

Lett. 1994; 175: 67–70.