しゃっくりの治療 ~薬物治療アルゴリズム~

しゃっくり 治療アルゴリズム
しゃっくりの治療アルゴリズム 薬物療法
しゃっくりの治療

しゃっくりに効く薬は

みなさん、こんにちわ。
今回は、しゃっくり治療アルゴリズムについてお伝えしたいと思います。

多くの人に発症するしゃっくりは、自然に軽快します。
”いつの間にか止まった” ということも多いのではないでしょうか?

しかし、しゃっくりが長時間止まらず困っている方もおられます。
ギネス記録には68年間しゃっくりが続いたオズボーン氏が紹介されています。
しゃっくりのギネス記録についてはこちらから

 

しゃっくりの分類(持続期間)

しゃっくりは継続期間によって以下のように分類されています。
・しゃっくり発作:48時間以内に軽快
持続性しゃっくり:48時間から1か月
難治性しゃっくり:1か月以上継続

しゃっくりが継続的に発症すると、疲労感、体重減少、会話障害などを引き起こすと言われており、うつ症状との関連も懸念されています。
そこで、しゃっくりを止めるために治療が必要なります。

しゃっくりどうやって止める?

まず試すのは、皆さんもご存じの物理的な方法や民間療法でしょうか。
・息を止める
・コップに入った水をコップの逆サイドから飲む
・驚く
・砂糖を飲み込む  などなど。

これらの方法を試しても、しゃっくりが止まらない患者さんが病院やクリニックなどを受診することがあります。
しゃっくり 治療アルゴリズム

さて、医師はしゃっくりに対しどのようにアプローチするのでしょう?

 

しゃっくりの薬物治療

ここで一つの論文を紹介します。
過去のしゃっくり研究をまとめ、しゃっくりの治療アプローチを提案してくれています。

治療手順についての図を、日本語に改変したものを転記させていただきました。

しゃっくり 治療アルゴリズム

 

しゃっくりの知慮の最初の一歩として、その原因検索が重要です。
脳梗塞、脳出血、感染症などの大病が原因になっていることがあるからです。

次に、原因がわからない、対処が難しい場合、まず胃薬のPPI:プロトンポンプ阻害薬(酸分泌抑制薬)が推奨されています。しゃっくりと消化器症状の関連の報告も多くあり、本論文では逆流性食道炎に効果があるPPIが最初の薬物療法にあげられています。


さらに表にあるような薬物療法が掲載されています。どれもエビデンスとしては高いものは少なく、症例報告や小規模の臨床研究からの知見を蓄積したものからの見解です。

ちなみに、しゃっくり治療薬として保険適応があるのはクロルプロマジン(抗精神病薬)のみです(臨床試験で治療効果が確立されているものではありません)。

 

薬でも治らないしゃっくりには

最後には、処置的、外科的治療を考慮、となっています。
持続するしゃっくりに神経ブロックなどの治療が有効だったという報告もあります。

 

まとめ

今回、紹介したしゃっくり治療アルゴリズムは非常にわかりやすく、医療従事者にとって有用ではないでしょうか。ただ、日本で使用される漢方薬や柿のへた(柿蔕湯)は登場していません、残念!

しゃっくりで苦しんでいる患者さんは、意外に多くおられます。これからもしゃっくり治療の研究が進み、より良い治療指針が開発されれば良いなと思います。

アルゴリズムに入っている、薬剤個々の治療メカニズムは効果については、またの機会にお伝えできればと思います。

 

たかがしゃっくり、されどしゃっくり・・・。
今回は、しゃっくり治療アルゴリズムについて紹介いたしました。
しゃっくりが長く続く場合は、なるべく早く受診をして原因をクリアにしたいですね。

 

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

 

参考文献
・Kolodzik PW, Eilers MA. Hiccups (singultus): review and approach to management. Ann Emerg Med 1991;20:565–73.
・Wilcock A, Twycross R (1996) Midazolam for intractable hiccup. J Pain Symptom Manage 12: 59-61.
・Jeon YS, et al. BMJ Supportive & Palliative Care 2018;8:1–6. doi:10.1136/bmjspcare-2016-001264

 

初回投稿:2021年11月7日
更新:2022年1月28日